top of page
検索

戦艦ミズーリはなぜパールハーバーに在るのか(1)

  • sutoband
  • 2014年9月20日
  • 読了時間: 2分
ミズーリ2.jpg

戦艦ミズーリ(アイオワ級BB53)は太平洋戦争末期に就役し、沖縄戦他北海道や日立での艦砲射撃に参加した。その後、巨額維持費が無駄とと批判され、巨体をもてあましながら生きながらえて、第一次湾岸戦争にも現役参加し、クウェートでフセイン軍陣地に艦砲射撃や巡航ミサイルを発射するなど、効果的な攻撃でというよりアメリカ海軍の栄光のシンボルとして1992年にロングビーチで退役した。それがなぜニューヨークやボルチモアでなく、パールハーバーに繋留されているのだろうか?

 それは言うまでもなく、その舳先にあるアリゾナ・メモリアルにある。1941年12月の真珠湾攻撃時に1000余名の乗員とともに沈み、いまなお海中から重油をもれ続けている戦艦アリゾナが、アメリカの太平洋戦争の犠牲のシンボルなら、1945年9月に艦上で、憎むべきジャップを降伏させ、衆人環視の下で降伏文書に署名させた戦艦ミズーリはアメリカの勝利と栄光のシンボルであり、いまなお海中に残された乗員に「このようにジャップをやつけましたよ、安心してお眠りください」という慰霊のメッセージなのだ。

 私は別にそうしたアメリカの意図を批判しているのではない。これが軍事の政治の常識であって、多くの国がおなじようなモニュメントをもっている。アメリカは終戦後70年近くなって、まだその記憶を忘れない...どころか、リニューアルしている。それが次に出現する新たな敵に備える道なのだ。実は、アメリカ海軍は日本の港に入港するときに、硫黄島陥落や沖縄戦勝利のように、アメリカ軍がジャップを破った日を選んできて、それより早くついた時には、わざわざ沖合いに一泊してからその記念日にあわせて入港している...と昔、外務省の高官から聞いたことがある。

 別にそれを非難しても始まらない。それは所詮、アメリカの意思だ。問題なのは、「アメリカはまだ太平洋戦争を忘れず、記憶し続け、さらにいつかまた日本と敵対する可能性に常に準備している」という現実だ。日本がアメリカと衝突するなんて...とノウテンキな日本人は笑うが、アメリカは真剣なのだ。そう考えると、戦艦ミズーリをわざわざハワイまで持ってきて、あの位置に繋留しておく「呪術的」意味の一端が理解されると想う。

 
 
 

最新記事

すべて表示
17名の犠牲者を出したパリ・テロの不思議

パリはテロ研究で何度も訪れた。それぐらいフランスとテロとの関係は深い。そこにはそれを実行する者も、取り締まる者も集まっている。そもそもテロリズムというのがフランスを始点とする概念だ。 それでも発生直後からこの事件に沈黙したのは、疑問点が多いことだ。技術的に言ってもパトカーへ...

 
 
 
オーストラリア・シドニーでのテロ事件がなげかける課題

12月15日に発生したシドニー中心部のコーヒーショップで発生したテロ事件は16時間後の翌16日午前二時に特殊部隊が突入し犯人を射殺、人質17名のうち2名が死亡した。犯人は96年にイラン難民としてオーストラリアに来たのち、オーストラリア政府のアフガン派兵や最近の米軍と一体化し...

 
 
 
今回衆議院選挙への不出馬のご報告

安倍政権の暴走とそれを阻止しようとすらしない野党の一強多弱構造の中で、まったく新しい政治の芽をつくろうと考えていましたが、突然のというか、社会的に許されない状況での安倍総理の自己都合解散によって、逆に選挙準備の整わない野党間で一挙に民主と維新の住み分けが進み、急転直下、野党...

 
 
 

コメント


Featured Posts
Recent Posts
Search By Tags
Follow Us
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square

NOBUHIKO SUTO & His BAND

DEMOCRACY FOR TOMORROW

 

© 2014 by Sutoband.info(首藤信彦&市民政治バンド)

Follow Us
  • Facebook Black Round
  • Twitter Black Round
  • YouTube Black Round
bottom of page