ODAが軍事援助に使われる時代の到来....
- sutoband
- 2014年6月27日
- 読了時間: 3分
ついにそんな時代がきた。
今日の読売新聞( www.yomiuri.co.jp/politics/20140626-OYT1T50136.html )によると、「ODA大綱見直しに関する有識者懇談会」(座長・薬師寺泰蔵慶大名誉教授)。現在の大綱は、「軍事的用途の回避」を掲げており、軍が使う可能性がある「軍民共用」空港などの整備はできない。報告書は、災害救助などを念頭に、「軍の非戦闘分野での活動も広がっており、一律に排除すべきではない」として要件緩和を求めた。。。。」だそうだ。
軍も災害援助などの非軍事活動をしているからいいのだ...という主張が根底にあるのだろうが、「軍」というものは、別に鉄砲を撃つだけでなく、道路工事や病院や教育機関まで含めての全体が「軍」機能で、こんな主張をする「有識者」はおよそ専門家でも「有識者」でもない。薬師寺さんも恥を知るべきだろう。
発展途上国の開発や難民対策に携わっている(官僚からNGOまで)皆さんはどう思うのだろうか?現場では日本の政府援助はすでに減り続け、最も基本的な援助すら実施できなくなっている。その乏しい援助の原資がさらに言えば、ある意味で真逆な方向に使われていくとしたら、現場の絶望の嘆息が聞こえるようだ。
このように人道援助と軍事援助が混在するようになれば、日本のODAへの信頼と敬意も薄れていく。日本の援助の高い精神性はその金銭的価値以上のものをもたらしてきたのだ。伝家の宝刀を薪割りに使うような愚を許してはならない。
最後の安全装置をはずしたのは安倍政権だが、いつかはこんなことになるとは、実はイラク派兵のブッシュ政権時代からわかっていた。コンドリーサ・ライス国務長官が日本に来て、「これからはODAもアメリカの世界戦略に合せて使ってしい...」みたいな発言があり、外務省いや北米一課省はこの時点でその方向に舵を切っていたと推察する。しかし、民主党政権時代は決してそんなことにはさせなかった。口幅ったいようだが「あの嫌な首藤の野郎がケチをつけやがって」とおえらいさんが憤慨していると現場の若手が教えてくれた。外務省は最も長い歴史を持つパレスチナのUNRWAへの基本支援すら切ろうとした。党幹部も説得し、野党にも協力をもとめ、ついにODAは下げ止まって増加に反転したのだった。しかし、そんなことはもう夢のまた夢のなかの話しだ。
アメリカの戦略と一体化した、もっと正確に言うと、軍事費の負担に耐えられなくなったアメリカの財政と一体化した、今回のような政策転換は簡単には止められない。やはりもう一刻もはやく、再び「自立した、まともな政治ができる」政権を作らなければならないと心に刻む。
【参考リンク】
ODA (Official Development Assistance) の基礎知識(JAICAサイト)
日本政府予算におけるODAの支出状況 (外務省サイト)
2000年代に入り大きく下落し続けていた政府ODA予算だが、2009年の民主党による政権交代以降は、
若干上積みされる傾向にあった
ODA各国比較 (OECDサイト)
先進国における最新のODAの支出額比較
対象地域やその内訳など、その他のさまざまなデータがご覧いただけます
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